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saburotakizawa

子供の見たケニアのソマリア難民キャンプ生活

僕が監修を担当した、難民についてのグラフィックノーベル(漫画/劇画)の邦訳本が合同出版から出た。アメリカでいくつもの出版賞を受けた本。翻訳者はアメリカ在住の日本人女性弁護士。

 ソマリアの故郷の村を襲った武装勢力に目の前で父親を射殺され、母親とはぐれた4歳の主人公オマルは赤ちゃんだった弟ハッサンや村人と共にケニアに逃げ、ダダブ難民キャンプで15年暮らした。

 ハッサンは障害を持ち、オオヨ(母さん)という一言だけしか話せない。2人は、里親となった女性ファトマ、足に障害のあるジュリ、勝ち気な女の子ニモ、キャンプで一番聡明なマリアムらとの交流で成長する。オマルは国連職員でソーシャルワーカーのスザンヌに見いだされ、数百人に一人という倍率のアメリカへの再定住に選ばれる。念願のソーシャルワーカーになったオマルは、育ったダダブ難民キャンプを訪問し、母親と23年ぶりに奇跡の再会を果たす。

  難民問題を扱う本は、悲惨さを強調するものが多いが、ここに描かれる子供たちは単調さと不便さの中でも希望を持ち続ける。苦難の中で夢を追い続ける姿はまさに人間ドラマで、難民も普通の人であることを改めて感じさせる。

 ケニア政府は、ダダブ難民キャンプの閉鎖を命じており、キャンプの住民には不安が広がる。その背景を含め、難民問題をよりよく理解するのに好適な本。中学生以上におススメ。小学校高学年にもいいかも。

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