top of page
saburotakizawa

ウクライナ難民?

国際社会の無法者ともいうべきプーチンに率いられたロシアによるウクライナ侵略(進攻ではない)は、80を超える軍事施設への大規模なミサイルなどによる空爆で始まった。ゼレンスキー大統領は「ロシアによる侵攻はない」と直前まで言っていたが、それもあってかウクライナ軍が強く抵抗しているというニュースは流れてこない。

ウクライナ軍の戦力を一挙に叩いて戦意を失わせ、屈服させ、要求をすべて呑ませるのがプーチンの戦略ではないか。アメリカが2003年にイラクでやったことだ。

その場合には、市民は国内西部に国内避難したり、ポーランドなどに「戦争難民」として逃げる余裕も(必要も)ないかもしれない。

次のシナリオとして、ロシアが地上軍を送り込み、人員と装備に劣るウクライナ軍を徹底的に叩いて、戦闘が短期で終わる場合でも、多くの国内避難民が出るだろうが、交通通信網の乱れもあり、「戦争」難民の即時の大量流出には繋がらないかもしれない。

第3に、ウクライナ兵が勇敢にかつ効果的に反撃するなり、市民がゲリラ戦的に抵抗するなりして戦争が長期化すれば、多数の「戦争難民」が欧州諸国に流出する可能性がある。ロシアの傀儡政権下で暮らしたくないと考えるウクライナ人が増える場合も同じだ。すでに多くがポーランドなどに出国しているというニュースが流れている。(ただ、広大な国なのに人々は貧しいから、出国したくてもできない人々が多いはず。成年男子は動員令のため出国が認められていない。)

隣国ポーランドには、100万人以上のウクライナ人が暮らしているので、多くは親戚や友人を頼ってポーランドに滞在するのだろう。その他はドイツなどにさらに移動するかもしれない。

日本にまで逃れてくる人もごく少数ではあろうが出てくるかもしれない。2014年のクリミア侵略にの時は20人ほどのウクライナ人のが難民申請があったという。日本で難民認定申請をしたとして難民条約上の「難民」と認められるか(難民条約の難民の定義はごく狭い)、または「補完的保護対象者」となるかは、戦況とその後の政治体制(例えば親ロシア派の政府による統治)や、個人的属性(例えば現政権の幹部で迫害を恐れているか)などによって左右される。昨年のミャンマーやアフガンからの多数の避難民のように、一括して特別な在留資格が与えられるかもしれない。

国連など人道支援機関は戦争のシナリオによって対応を変えざるをえない。

日本を含む西側諸国ができることは、自国への悪影響を覚悟で、最大級の経済制裁を無法国家ロシアに課することしかない。そしてロシア経済が破綻してプーチンが退場することを目指すのだ。

大量の「戦争難民」がヨーロッパ諸国に逃れた場合、各国は資金的にも対応に追われるだろうから、日本はアジア、中東、アフリカなどの難民支援のための資金協力に力を入れるべきだろう(UNHCRによれば、今年の難民など支援対象者は1億人を超し、支援予算は1兆円に上る)。

遠くの国の人々を日本人は直接助けることはできないから、「助ける人を助ける」のだ。

閲覧数:1回0件のコメント

最新記事

英国の難民排除政策

引用サイト 英 不法入国者の申請認めない法律成立へ 人権団体は批判 | NHK | イギリス 人権を尊重し難民政策で先進的と思われてきた英国だが、そのためもあって英国で難民申請をしようとする者が、フランスからボートで不法入国を図るようになった。昨年は4万5000人もが国境(...

本国情勢を踏まえたスーダン人への緊急避難措置

在留スーダン人(約400人)について、希望する場合、個別の事情を踏まえつつ就労可能な「特定活動」の在留資格を付与して在留を認めるだけでなく、すでに退去強制を命じられた者についても同様に扱い、強制送還はしないという。 この情報は、入管庁ホームページのトップページから、公表情報...

アフガン退避者114名の難民認定

いいことだ。これで昨年来のアフガン難民認定者は261人になる。今後もアフガン退避者の難民認定は続くだろう。 変わりゆく現実を認めず、未だ「日本の難民認定率は1パーセント」「難民鎖国」などと唱え続ける一部NGOやメディアもあるが、日本は着実に「難民開国」に向かっている。...

Comments


bottom of page